胃・大腸内視鏡検査で分かる・見つかる病気とは!?

更新日:2022/01/18  投稿日:2020/04/16

胃や大腸の内部を詳しく観察することができる内視鏡検査―。通常のレントゲン検査やCT検査などでは描出されない小さな病変も発見することができるため、さまざまな病気の診断に役立ちます。
特に、早期段階のがんなどは内視鏡検査を行わなければ発見することは難しいのが現状です。
小さながんであれば手術をせずに内視鏡で切除できることも多く、検査と治療を同時に行うこともできるのも内視鏡の強みです。
また、がん以外にも内視鏡検査でなければ詳しく分からない病気や発見できない病気は少なくありません。
そこで今回は、胃・大腸内視鏡検査で見つけることができる病気について詳しくご紹介します。

胃カメラ(胃内視鏡検査)で見つかる26の病気

咽頭 ​上咽頭がん ​中咽頭がん ​下咽頭がん ​咽頭ポリープ​ ​粘膜下腫瘍​ ​咽喉頭酸逆流症​ ​​壁下性圧排​ ​​​
​食道​ ​​逆流性食道炎 ​​食道がん​ ​食道静脈瘤 ​​裂孔ヘルニア​ ​​食道びらん​ ​​食道カンジダ​​ ​​​粘膜下腫瘍​ ​​​​バレット食道​
​胃​ ​​胃潰瘍 ​​胃ポリープ​ ​胃がん ​​胃静脈瘤​ ​​胃炎​ 胃アニサキス症​​ ​​​萎縮性胃炎​ ​​​​ピロリ菌​
​十二指腸​ ​​十二指腸潰瘍 ​​十二指腸炎​ 十二指腸がん ​​​ ​​​ ​​ ​​​​ ​​​​​

咽頭のよくある病気と恐ろしい咽頭がん

年間1000人の死亡者数を誇る咽頭がんとは!?

上咽頭がん

鼻の奥から口蓋垂(のどちんこ)の奥までの範囲である「上咽頭」に発生するがんです。
見えないところにできるがんであり、早期段階では自覚症状がほとんどないとされています。
一方で、周囲にはリンパ節が数多く存在するためリンパ節転移を起こしやすく、進行すると鼻の空気の通りが悪くなって強い鼻づまりを感じるように…。
そしてがんの表面から出血が生じることで鼻血が出やすくなったり、周辺の神経がダメージを受けて視力低下や複視(物が二重に見える)などの症状を引き起こすことも少なくありません。

中咽頭がん

のどの奥から食道・気管までの範囲である「中咽頭」に発生するがんです。
上咽頭がんと同じく、早期段階では自覚症状がほとんどないため発見が遅れることも多々あります。
進行してがんが大きくなると、のどの痛み、飲み込むときの違和感、声の変化などの症状が現れます。
また、周囲の神経にダメージを与えることで、口が開けにくい・舌を動かしにくい、といった神経症状が現れることも…。

下咽頭がん

のどの奥の気管や食道周囲の「下咽頭」に発生するがんです。
がんが発生する部位によっては、声帯の動きが鈍くなることで声が出しにくくなるといった症状が早期の段階から現れることがあります。
一方、進行して大きくなると物を飲み込むときの違和感やのどの痛み、血痰(がんからの出血が混ざった痰)などが見られるようになります。

他にも胃内視鏡で見つけられる以下のような咽頭の病気があります。

  • 咽頭ポリープ
  • 粘膜下腫瘍
  • 咽喉頭酸逆流症
  • 壁下性圧排

ただし、上咽頭に生じた病気は口から挿入するタイプの「経口内視鏡」で観察することはできません。
鼻の穴から内視鏡を挿入してのどに至らせる「経鼻内視鏡」を用いた検査が必要となります。

食道に起こりうる危険な病気

日本人の10人に1人が患う逆流性食道炎とは!?[1]

逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道に逆流する病気のことです。

通常、食道と胃の境目はきつい筋肉によって閉じられているため、胃の内部に溜まった胃酸や飲食物が食道に逆流することはありません。
しかし、加齢による筋力の低下、妊娠や肥満などによる胃の圧迫によって食道と胃の境目の筋肉が緩みやすくなると、横になったときなどに胃の中の物が食道に流れ込んでしまうことがあるのです。

胃の壁から分泌される胃酸は、その名の通り酸性度が高い消化酵素の一つ。
胃の粘膜は特殊な構造をしているため、酸性度の高い胃酸に晒されてもダメージを受けることはありません。
一方、食道の粘膜はそのような特殊な構造になっていないため、胃酸が逆流すると強いダメージを受けます。
そして、ダメージが積み重なることで粘膜が炎症を起こし、「逆流性食道炎」を発症するのです。

このため、逆流性食道炎は夜間就寝中など胃の内容物が逆流しやすい体勢になると症状が強く現れます。
症状の感じ方は人によって異なりますが、むかつき、吐き気、胸の痛みなどが現れ、ひどくなると口の中が酸っぱくなる、咳が出るといった症状が見られることも少なくありません。

他にも胃カメラ・内視鏡で見つけられる以下のような食道の病気があります。

  • 食道がん
  • 食道静脈瘤
  • 食道裂孔ヘルニア
  • 食道びらん
  • 食道カンジダ
  • 粘膜下腫瘍
  • バレット食道

胃に潜む身近な病気

誰でも一度は聞いたことのある胃潰瘍、その症状とは!?

胃潰瘍とは、胃酸の過剰分泌などによって胃の粘膜がダメージを受ける病気のことです。

中年以降の方に発症しやすく、男女ともにありふれた病気の一つと言えます。[2]
そのため、胃潰瘍は軽く考えられがちな病気でもありますが、ひどい場合には胃の壁に穴が開いて腹膜炎を引き起こし、命に関わってくることもある恐ろしい病気です。
主な原因は、粘膜を胃酸から守る仕組みを破綻させるピロリ菌感染や非ステロイド系鎮痛剤(NSAIDs)の過剰使用と考えられています。[3]

胃の壁を構成する層は4つ。
胃潰瘍ではそのうち、一番表層の粘膜が第一にダメージを受け、悪化すると粘膜の下の筋肉が抉れるようにダメージが広がっていきます。
一般的に胃潰瘍のこのような進行の仕方はⅠ~Ⅳ度に分類されており、粘膜のみにダメージが限られているものをⅠ~Ⅱ度、筋肉にまで達するものをⅢ~Ⅳ度としています。

どのステージにおいても、胃潰瘍は上腹部痛、食欲低下、胃部不快感、吐き気などの症状が現れます。
そして、進行するとダメージを受けた部位を走行する血管が破れ、大量の出血が起こることも…。
「吐血(血を吐くこと)」が見られることも少なくありません。

胃ポリープは、放って置いて大丈夫なの!?

「ポリープ」とは、粘膜の一部に盛り上がったような病変のこと。
胃はポリープができやすい部位であるため、健康診断での内視鏡検査などで偶然発見されることも多々あります。

しかし、ポリープは転移や急激な増大を生じない「良性」の病気であるため、発見されたとしても治療の必要がないケースは珍しくありません。

胃にできるポリープにはいくつかの種類がありますが、いずれも自覚症状はほとんどありません。
そのため、特別な治療が必要となることはほとんどないでしょう。

一方で、ポリープが大きくなるとポリープの表面から出血が生じたり、胃での飲食物の通過に異常が現れたりすることも…。
また、定期的な検査を行う中でポリープが急に大きくなる場合はがん化する可能性が高いためポリープを切除する必要があります。

男性部位別がん死亡数、肺に次ぐ第2位の胃がんとは!?

胃がんは、男性の部位別がん死亡数第2位。
罹患数だけを見れば、胃がんは男性のがんの中で最も頻度が高く、女性も3位。[4]
男女ともよく見られる病気の一つと言えます。

また、胃がんは早期の段階で治療できれば治る見込みが非常に高いのも特徴の一つです。
そのためには、胃がんを発症していることをできるだけ早く見つけることが大切です。

しかし、胃がんは早期段階では自覚症状が現れにくいもの。
進行すると胃痛や吐き気・嘔吐、胸やけなどの消化器症状が見られると同時に、胃がんの表面からじわじわした出血が続くため貧血になりやすくなります。
その結果、動悸や息切れ、めまい、疲れ、立ちくらみなど様々な症状が現れるように…。
また、食欲が低下し、体重が急激に減少することも少なくありません。

他にも胃カメラ・内視鏡で見つけられる以下のような胃の病気があります。

  • 胃静脈瘤
  • 胃炎
  • 胃アニサキス症
  • 萎縮性胃炎
  • ピロリ菌感染症

十二指腸の危険な3つの病気

腹膜炎を引き起こす!?十二指腸潰瘍の特徴

十二指腸潰瘍は、胃の出口から小腸へ連なる「十二指腸」と呼ばれる部位の粘膜が胃酸などによってダメージを受け、炎症を引き起こす病気のことです。

主な原因は胃酸の過剰分泌とされています。
十二指腸には胃のように胃酸から粘膜を守る仕組みがないため、胃酸が多く流れ込むと炎症を引き起こすのです。
さらに、十二指腸の壁は胃に比べて非常に薄いため、潰瘍が進行すると十二指腸の壁に穴が開いてしまうことも珍しくありません。

そんな十二指腸潰瘍は20~30代の若者に発症しやすいことがわかっています。
この年代は自身の体調不良に無頓着な方も多いもの。
そのため、空腹時のみぞおちの痛みや食欲不振など十二指腸潰瘍に典型的な症状が現れても病院を受診せず、非常に悪い状態に進行して初めて発見されるケースも少なくありません。

他にも胃カメラ・内視鏡で見つけられる以下のような十二指腸の病気があります。

  • 十二指腸炎
  • 十二指腸がん

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で見つかる8つの病気

​大腸 大腸ポリープ 大腸がん 潰瘍性大腸炎 大腸憩室症 大腸メラノーシス 過敏性腸症候群 直腸炎 クローン病

40歳以上の半数以上が持つ大腸ポリープとは!?

大腸ポリープとは、大腸粘膜の一部の細胞が過剰に増殖し、ふくらみのある「できもの」を形成する病気です。

ある調査によれば、10万人あたり、男性は54~62人、女性は34~40人程度が大腸ポリープを発症するとのこと。
決して珍しい病気ではないのです。大腸は男女とも発生頻度が高く、とくに40歳以上の方によく見られます。

また、大腸ポリープは通常自覚症状がほとんどありません。
そのため、健康診断などで偶然発見されるケースも珍しくなく、がんの疑いがあるものや出血などを引き起こしている大きなサイズのものを除いては、治療をしないケースも少なくありません。
ですが、大腸ポリープはまれにがんに進行するケースもあるため、定期的な検査による経過観察が必要となります。[5]

女性のがんで死亡率第1位の大腸がん

部位別がん死亡率で女性の第1位、男性の第3位である大腸がん。男女ともよく見られる病気の一つです。[6]

大腸がんは胃がんと同じく早期の段階で治療を行えば、治る見込みが高いがんでもあります。
一方で、大腸がんは進行するまで自覚症状が全く現れないケースも少なくありません。
そのため、発見が遅れてしまうこともあり、発見された段階ではもはや治療ができないほど進行している…というケースも多々あります。

大腸がんでは、血便(便に血が混ざる)、細い便、残便感(排便後にも便が残ったように感じること)、体重減少、食欲低下、貧血などの症状が現れやすいため、気になる症状があるときは放置せずにできる早く病院で検査を受けることが大切です。

早期発見が重要!女性の死亡率第1位は大腸がん

胃カメラ・大腸内視鏡検査は様々な病気の早期発見に繋がります!

このように、胃・大腸内視鏡検査は咽頭、食道、胃、十二指腸、大腸と様々な部位の病気を発見することができる優れた検査です。

内視鏡はこれらの部位の内部をカメラで映し出して詳細な観察をすることができるため、早期発見に非常に役立ちます。
がんをはじめ、病気は早い段階で発見して治療を開始するほど、治る見込みが高くなり、治療のかかる身体的・精神的な負担も少なくなります。

今回ご紹介したような病気が疑われるときは思い切って内視鏡検査を受けるようにしましょう。
また、症状がない方でも、30~40代以降はさまざまな病気の発症率がアップしていきます。
早期発見のためにも定期的な内視鏡検査を受けることが必要です。
長い間通院を続けられるよう、医師との相性や立地など自分に合ったクリニックを見つけるようにしましょう。

参考文献

1)GERD ガイドライン
( https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/gerd2_re.pdf#page=24 )

2)日本消化器病学会
http://www.jsge.or.jp/ ):消化性潰瘍診療ガイドライン2020

3)日本消化器病学会
http://www.jsge.or.jp/ ):消化性潰瘍診療ガイドライン2020

4)胃がん治療ガイドライン
( http://www.jgca.jp/guideline/fifth/category1-1.html#H2-A_1 )

5)大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランス
( https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/62/8/62_1519/_pdf/-char/ja )

6)大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランス
( https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/62/8/62_1519/_pdf/-char/ja )

監修医:木村眞樹子

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執筆者 成田亜希子先生執筆者 成田亜希子先生

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