更新日:2020/10/08 投稿日:2019/11/28
最低限知っておきたい!内視鏡検査前にやってはいけないこと
胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査は、消化管の内部を直接カメラで観察することができる優れた検査です。超音波検査やCT検査などの一般的な画像検査では見つけることができない早期がんなどの小さな病変も発見することができます。
また、単に消化管の内部を観察するだけでなく、内視鏡の先端からは専用の医療機器を挿入することも可能です。このため、病気が発見された場合には、その組織の一部を採取(生検)して顕微鏡で詳しく調べる「病理検査」を同時に行うことができます。また、早期がんや小さなポリープなどであれば内視鏡を用いて切除することもできるのです。
このように、内視鏡検査はがんなどの病気を早期段階で発見できるだけでなく、さらなる精密検査や治療も同時にできるのが大きなメリットと言えます。
しかしながら、内視鏡検査は鼻や口、肛門から内視鏡を直接消化管の中に入れるため、少なからずリスクがある検査でもあります。このため、より安全により正確な検査を受けるには、検査前に「するべきこと」・「してはいけないこと」がありますので注意しましょう。
目次
どんなことに気をつける?
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)前の注意点
では、内視鏡検査前にはどのようなことに注意しなければならないのか詳しく見てみましょう。
まずは胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)前の注意点をご紹介します。
胃カメラの検査前日にやってはいけないこと
夕食は消化のよいものを夜9時までに摂る
胃カメラ検査は鼻や口から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の状態を詳しく調べる検査です。検査を行う際に胃内に飲食物が入っているとカメラで正確に観察することができない場合があります。検査前日は9時までに夕食を済ませるようにしましょう。
また、食事は食物繊維などが多いものではなく、おかゆやスープなど消化が良いものを選ぶのもポイントです。
アルコールは控える
検査前日の夜9時以降であっても、水分を摂ることは可能です。しかし、それ以降は食事を摂ることができませんのでアルコールを摂取すると胃の粘膜にダメージが生じる可能性があります。検査前日の飲酒は控えるようにしましょう。
胃カメラの当日検査前にやってはいけないこと
朝食を摂らない
基本的に胃カメラ検査は午前中の早い時間に行われます。胃の中を空っぽにするため前日の夜9時以降の食事は控える必要がありますが、当然ながら検査当日の朝食も摂ることはできません。空腹を感じるかもしれませんが、正確な検査を行うためには少量であっても食事を口にしないよう注意しましょう。
コーヒーや牛乳などの水分は控える
検査前の食事は控えなければなりませんが、水分は検査の1時間前までは摂取可能です。しかし、コーヒーのように色が濃い水分や牛乳のように胃の粘膜に膜を張るような水分は検査に支障を来すことがあります。
脱水を防ぐためにも水分摂取は必要ですが、水やお茶などを選ぶようにしましょう。
薬は検査の2~3時間前に服用する
持病があって毎日の内服が欠かせない場合は、検査の段階で胃内に残っているのを防ぐため2~3時間前には服用しておくようにしましょう。また、早めの吸収を促すため水分を多めに摂るのもポイントです。
なお、抗凝固薬や抗血小板薬など「血液をサラサラにする」ような薬は検査前に服用を中止しなければならないケースがあります。定期的に持病の薬を服用している方は服薬内容を事前に医師に伝えるようにしましょう。
交通手段に注意する
検査時の苦痛を抑えるため、胃カメラ検査では鎮痛剤や鎮静剤が用いられることも少なくありません。特に鎮静剤を用いた場合は、検査後もぼんやりしたり眠気がある状態が続きやすいため、検査後の運転は控える必要があります。
帰宅時の交通手段も考慮し、受検者が一人で自家用車を運転して来院しないようにしましょう。
どんなことに気をつける?
大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)前の注意
大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)は肛門から内視鏡を挿入し、直腸から大腸、盲腸まで進めながら内部の状態を詳しく観察します。大腸は直径5~7㎝ほどの管状の形をしていますが、普段は折り畳められたような状態になっているため空気を挿入して大腸を膨らませながら検査を進めていきます。このため、大腸カメラ検査はお腹の張りや痛みなどが生じやすく、胃カメラ検査よりもリスクがある検査です。
安全かつ正確な検査を行うには検査前に次の点に注意しましょう。
大腸カメラの検査前日にやってはいけないこと
事前に処方された下剤を確実に服用する
大腸は小腸から送られた食べ物の消化物などから水分を吸収して固形の便を作る臓器です。このため、大腸の中には便が溜まった状態となっています。しかし、大腸内に便が溜まっていると内視鏡で詳しく観察できなくなるだけでなく、内視鏡を進めていくことができなくなることも…。 このため、大腸カメラ検査を行う前には大腸内をキレイな状態にしておく必要があります。一般的には検査前日の夜に服用するための下剤が準備されますので、処方されたものは医療機関の指示に従って確実に服用するようにしましょう。
軽めで消化の良い夕食を心がける
より精度の高い大腸カメラ検査を行うためには、検査前日の夜や検査当日の朝は多量の下剤を服用する必要があります。これは大腸内の便を出し切って内視鏡で内部を見えやすくするための処置ですが、下剤の効果を高めるには検査前日(便秘気味の方は検査の2~3日前)に繊維質や脂質の多いものを摂らないことがポイントです。 特に夕食はおかゆなど消化の良い物を軽めに摂るよう心がけましょう。
大腸カメラの当日検査前にやってはいけないこと
朝食は摂らない
大腸カメラ検査の精度を高めるには、大腸の中をできるだけキレイな状態にしておく必要があります。水分を摂取することはできますが、検査当日の朝は食事を摂らないようにしましょう。
便意を我慢しない
検査前には多量の下剤を服用しますので、当然頻回の下痢に襲われることとなります。大腸カメラ検査を行った方の中には、下剤の服用が一番つらかったと答えるケースも少なくありません。しかし、精度の高い検査を安全に行うために必要な処置ですので、便意を感じた場合は我慢せずに出し切るようにしましょう。
交通手段に注意する
大腸カメラ検査はお腹の張りや痛みなどの苦痛を伴いやすい検査です。このため、検査中の苦痛を軽減するため鎮痛剤や鎮静剤を用いる医療機関も少なくありません。特に鎮静剤を用いた場合は、検査後も頭がぼんやりしたり眠気が生じることがあります。検査当日は運転を控えるべきと考えられますので、来院時は帰宅時のことも考えて交通手段を選ぶようにしましょう。
まとめ
内視鏡検査(胃カメラ検査、大腸カメラ検査)は早期がんなどの小さな病気を発見し、同時に病理検査などの精密検査、治療を行うことができる優れた検査です。しかし、身体の中に内視鏡を直接挿入するため、少なからずリスクがある検査でもあります。
より安全でより精度の高い正確な検査を行うには検査前に注意しなければならないことも少なくありません。今回ご紹介した注意点を含め、検査前は医療機関の指示に従って行動するようにしましょう。