更新日:2020/10/08 投稿日:2020/07/31
目次
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)時の食事について

大腸内視鏡検査は、初期の大腸がんなど通常の画像検査では発見できないような小さな病変を詳しく観察することができる検査です。
また、初期のがんや小さなポリープであれば検査と同時に切除することもできます。
大腸内視鏡検査は非常にメリットの大きな検査と言えますが、より正確な検査や治療を行うには検査前の食事に注意しなければならない点があります。
まず、大腸内視鏡検査前の食事の注意点について詳しく解説します。
食事メニューの例も挙げますので、ぜひ参考にしてください。
大腸内視鏡検査前の食事

そもそもなぜ、大腸内視鏡検査の前には食事制限が必要になるのでしょうか?
それは、検査前にできるだけ大腸の中をキレイにしておく必要があるからです。
大腸は胃や小腸で液状に消化された飲食物などから水分を吸収して便を作り出す臓器…。
毎日規則正しい排便がある方でも、大腸の中には便や便を作り出す過程の消化物が残っている状態になっています。
大腸内視鏡検査では、このような大腸の中に内視鏡を進めていかなくてはなりません。
よりスムーズに、そして小さな病変を見逃さずに大腸内を観察するには、できるだけ便がない状態で検査をするのが望ましいのです。
そのため、大腸内視鏡検査前には大量の下剤を服用して大腸内に溜まった便を出すための処置が行われます。
それと同時に、便のカスが残りにくい食事を心がけることが大切なのです。
では、大腸内視鏡検査前の食事は具体的にどのようなものを選べばよいのか詳しく見てみましょう。
検査3日前~2日前
大腸内視鏡検査3日前からは、便の固形化を促したり、便の量を増やしたりするような食材を避けることが大切です。
具体的には、こんにゃく・海藻類・野菜・きのこ・果物など食物繊維が多い食材、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、揚げ物や肉類など脂質の多い食材などが挙げられます。
また、普段から便秘がちの方はラーメンやパスタ、そばなどの麺類、玄米、固めのパンなど消化の悪い主食も控えるようにしましょう。
これらの食材を摂らないよう注意すれば、通常の食事を摂っていただいて構いません。
なお、大腸内視鏡検査前には食事内容のみではなく、飲み物にも注意しなければなりません。
大腸の粘膜に負担をかけるようなアルコール類はNG!また、コーヒーやジュースなども大腸の粘膜の色調に影響を与える可能性がありますので控えましょう。
検査前日

大腸内視鏡検査前日は、できるだけ便が残りにくくなるような食事を心がけることが大切です。
検査3日前から避けるべき食材を摂らないことはもちろんですが、朝食や昼食は海苔や具のないおにぎり、素うどん、具なしスープ、食パンなどがおすすめ。
副菜としては、豆腐や脂肪分の少ない白身魚などがよいでしょう。
また、夕食はお粥や素うどんなど消化がよいものを少量に抑えるのがポイント。
時間は早めに摂るほどよく、少なくとも20時までには済ませるようにしましょう。
検査当日(検査前)
当日検査前に食事を摂ることはできません。空腹を感じるかもしれませんが無事に検査が終了するまで食事はNGです。
ただし、牛乳、コーヒー、ジュース以外の水やお茶などの水分を摂ることはできます。
むしろ、当日検査前は多量の下剤を服用するため体内の水分も失われがち。
普段より多めに多めの水分を摂るよう心がけましょう。
大腸内視鏡検査後の食事

基本的に、大腸内視鏡検査が無事に終了すれば検査後の食事に制限はありません。
一方で、大腸内視鏡検査を行うには2~3日ほど前から食事制限を始める必要があり、検査終了後は絶食した状態となっています。
検査が終了したからといってむやみに脂っこいものなどを食べると胃腸の調子が悪くなることもありますので注意が必要です。
できるだけ消化がよいものを選ぶのが無難でしょう。
胃内視鏡検査(胃カメラ)時の食事について

胃内視鏡検査は、口や鼻から内視鏡を挿入して食道・胃・十二指腸などを詳しく観察することができる検査です。
画像検査では分からない早期胃がんを発見することもできるため、特に症状がない方でも定期的な検査が勧められています。
一方で、胃内視鏡検査は大腸内視鏡検査と同じく検査前に食事制限が必要です。
胃内視鏡検査に伴う食事制限についても詳しく解説します。
胃内視鏡検査前の食事

胃内視鏡検査は、口や鼻から挿入した内視鏡で胃などの内部を詳しく調べることで、画像検査では分からない小さな病変を発見することができる検査です。
胃は口から摂取した飲食物が食道を通って流れ落ちる臓器。
より正確な胃内視鏡検査を行うには、胃の中を空っぽに近い状態にしておくことが望ましいのです。
そのためには、検査前の食事に注意することが大切です。
では、具体的にどのようなことに注意すればよいのか詳しく見てみましょう。
検査3~2日前
胃の中に入った飲食物が消化されて十二指腸へ送り込まれるのにかかる時間はおよそ3~5時間。胃内視鏡検査のための食事制限は、胃の中身を空っぽに近い状態にすることですから、検査の3~2日前の食事制限は特に必要ありません。
ただし、過度なアルコールや油分の多い食事などの暴飲暴食は胃の粘膜に大きな負担をかけます。胃内視鏡検査で病変が発見された場合は、その組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査が必要になることも少なくありません。
このような検査に備えるためにも、胃の粘膜に負担をかけすぎる暴飲暴食は避けるようにしましょう。
検査前日

検査前日の朝食や昼食も基本的に食事制限は必要ありません。
一方、夕食はおにぎり、素うどん、スープなどできるだけ消化の良いメニューを20時頃までに済ませるようにしましょう。
時間が経過しても胃の内部に残る可能性がある海苔など食物繊維の多い食材、種のある果物などはNGです。
また、当然、検査前日もアルコールは控えて下さい。
検査当日(検査前)
胃内視鏡検査当日の検査前は、食事を摂ることはできません。
胃内視鏡検査は通常、午前中の早い時間に行いますので空腹を感じるかも知れませんが、精度の高い検査をするために我慢しましょう。
また、検査当日も水やお茶などの水分は摂取可能です。
ただし、コーヒー、ジュース、牛乳など胃の粘膜の色調に影響を与えるような水分は控えて下さい。
胃内視鏡検査後の食事

胃内視鏡検査後は通常通りの食事を摂ることができます。基本的に、食事内容に制限はありませんのでお好きなメニューで構いません。
しかし、胃内視鏡検査後は「絶食」が長く続いた状態…。
一気に脂っこい食事を摂ると胸焼けなどを引き起こすこともありますので、あっさりした和食などのメニューがおすすめです。
ポリープ切除後の食事

大腸内視鏡検査も胃内視鏡検査も基本的に検査後の食事に制限はありません。
しかし、内視鏡を用いてポリープなどの病気を切除した方、病変組織の一部を採取して病理検査を行った方は、胃や大腸の粘膜にダメージが加わっている状態です。
検査当日(検査後)は胃や大腸の刺激を与えないような食事を心がけましょう。
食物繊維が多い食材、ラーメンやパスタ、玄米など消化の悪い食材はNG!
アルコールや香辛料の多い食事は胃や大腸の粘膜に大きな負担をかけますので、検査後数日間は避けましょう。
検査前日と同じく、おかゆ・うどん・食パンなどの主食に豆腐や白身魚をプラスした消化の良いメニューがおすすめです。