更新日:2021/08/24 投稿日:2020/08/28
内視鏡検査ではカメラが内蔵されたファイバースコープを口・鼻、肛門などから体内に挿入しなければなりません。一般的な画像検査よりも身体への負担は大きくなります。また、内視鏡は使い捨てではなく、他の患者さんが使用したものを洗浄・消毒して再利用します。内視鏡を通じて感染症にかかるのでは…?と考える方もいるでしょう。
しかしながら、現在では内視鏡の洗浄や消毒に関する厳密な取り決めがあるため、内視鏡を介して感染症がうつるということはまずありません。とはいうものの、新型コロナウイルスが蔓延する昨今、感染を恐れるあまり内視鏡検査を先延ばしにする方は少なくありません。
そこで今回は、コロナ禍にある今、内視鏡検査を受けるべきか否かについて詳しく解説します。
目次
内視鏡検査によるコロナウイルス感染リスク
内視鏡検査器具の洗浄・消毒による感染防止

かつては内視鏡を介してのピロリ菌感染などが問題になったこともありましたが、上述した通り、現在では内視鏡の洗浄・消毒は徹底して行われるのが原則です。内視鏡を扱うほとんどの医療機関では、日本消化器内視鏡学会や日本感染症学会などによる「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン」を遵守した洗浄・消毒が徹底されています。
内視鏡の使用後には体内に潜んでいるさまざまな細菌やウイルスなどの病原体が付着している可能性がありますが、ガイドラインを遵守した手法で洗浄・消毒すれば病原体を死滅させることができるのです。もちろん、新型コロナウイルスに対しても効果があります。新型コロナウイルスに感染した方が使用した内視鏡であっても、正しく洗浄・消毒すれば次の検査を受ける方に感染させるリスクはまずありません。
洗浄や消毒をしているから安全!と言われても、本当に正しく行われているか不安…と考える方も多いでしょう。当サイトでは、ガイドラインを遵守した感染対策を徹底しながら内視鏡検査・治療を行っているクリニックも紹介しています。不安がある方は、クリニック選びの参考にして下さい。
標準予防策による感染防止
医療機関は体調不良のある方が多数来院するため、新型コロナウイルスの感染リスクが高い場所の一つです。万が一、医師が新型コロナウイルスに感染していたら患者さんにうつしてしまう可能性もあります。しかし、新型コロナウイルスが世界を震撼させ始めてから半年以上が経ち、感染経路など徐々に分かってきたことも多々あります。
現時点では、新型コロナウイルスは標準的な感染対策をすれば感染するリスクは低くなると考えられており、医療機関でも対策が徹底されていますので安心して下さい。
まず、新型コロナウイルスは「飛沫感染」と「接触感染」によって拡がっていくと考えられています。新型コロナウイルスを防ぐには、この「飛沫感染」と「接触感染」の経路をシャットダウンすることが大切。
医療機関では患者さん同士の「密」を避けるため、予約制を導入する、待合室のソーシャルディスタンスを促す、こまめに換気を行う、といった対策を行っています。
感染対策の方法や徹底の度合いは医療機関によって異なりますので、気になる場合は各クリニックのHPなどを確認するようにしましょう。
↓標準予防策についての参考サイト
https://endoscopy-clinic-guide.com/endoscopic-cause-infection
コロナウイルス感染拡大状況下でも内視鏡検査を受けるべき?
内視鏡は、正しい手法で洗浄・消毒を行えば新型コロナウイルスの感染リスクは非常に低くなります。しかし、「万が一」のことを考えて予定されていた内視鏡検査を先延ばしにする方も少なくないはず。医療機関内での感染を回避するために体調が悪くても受診を控えるという方もいます。
厚生労働省も医療機関内での感染拡大を予防すべく、「不要不急」な受診は控えるべきとの見解を示しています。ですが、内視鏡検査は上述した通り、早期段階の病気を発見することができる検査。検査を先延ばしにしたり、体調不良を放置したりすることで、がんなどの重いものを含めた病気の早期発見の機会が失われてしまう可能性も否定できません。
感染によるリスクと内視鏡検査を先延ばしにした際のリスクについて比較して考えるために、コロナウイルスの死亡率とがんの発見が遅れることによる生存率の変化を比べてみましょう。
コロナウイルス感染による死亡率について

*小数第1位まで表示
参照:厚生労働省公表(2020年8月5日時点)データより作成
厚生労働省による新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年8月5日)を見ると、感染者は20代や30代の若い世代の方に多く、年齢が上がるごとに感染者数は減少していることがわかります。報道でも飲食店などに勤務する若者の中で感染拡大が生じていることが大きな問題と取り上げられているのが現状です。
一方、新型コロナウイルス感染症による死亡率は、若い世代の方は非常に低いものの、60代になると徐々に上昇。年齢が上がるごとに死亡率が急激に上昇しますが、60代までの死亡率は5%未満です。
連日、新型コロナウイルスに関する恐ろしい情報が報道されている今、新型コロナウイルスに過度な恐れを抱く方が多いのも事実です。しかし、内視鏡検査や治療を受ける方が多い世代の死亡率は決して高くありません。また、医療機関に訪れたとしても、新型コロナウイルスに感染する危険が高い…というわけではありませんので安心しましょう。
胃がん・大腸がんの生存率について
胃がんのステージ別5年生存率
Ⅰ期 | Ⅱ期 | Ⅲ期 | Ⅳ期 |
---|---|---|---|
94.7% | 67.6% | 45.7% | 8.9% |
大腸がんのステージ別5年生存率
Ⅰ期 | Ⅱ期 | Ⅲ期 | Ⅳ期 |
---|---|---|---|
95.1% | 88.5% | 76.6% | 18.5% |
参照:国立がん研究センター 生存率報告書(2011)より一部抜粋
一方、内視鏡検査で早期発見することができる胃がんと大腸がんの生存率はどうでしょうか?
新たな薬剤や手術方法の開発により、がんの治療は飛躍的に進歩しています。発見が遅れなければ、がんを発症しても治療を行いながら長く生きる方もたくさんいます。とくに、胃がんや大腸がんは早期段階で発見できれば治る見込みが高いとされています。
がんの進行度を示す「ステージ」別の生存率を見ると、早期段階である「ステージⅠ」で治療を開始できれば、5年後の生存率はいずれも90%を越えます。一方で、他の場所に転移があるなどがんが進行した状態である「ステージⅣ」で発見された場合の5年生存率はいずれも低く、早く発見できればそれだけ治る可能性が高くなることが分かります。
がんが進行するスピード、症状の現れ方は人によって異なりますが、数年前の検査で異常がなくその後も症状がない場合であっても、いつの間にかがんを発症して進行していた…というケースもあります。
新型コロナウイルス対策ばかりに注意がいき、内視鏡検査を先延ばしにすることで本来なら早期で発見できたがんが進行してしまう可能性は十分にあるのです。
上述した通り、新型コロナウイルス感染症による20~50代の死亡率は極めて低いもの。60代以上の方でなければ、新型コロナウイルス感染を避けるために内視鏡検査を先延ばしにするよりも、がんの発見が遅れるリスクの方を避けた方がよいと考えられます。
定期的に内視鏡検査を受けることが大切
新型コロナウイルスが社会を震撼させる中、内視鏡検査を受けることを躊躇する方が多いのは事実です。しかし、内視鏡検査を受けずにがんを早期発見できる機会を逃してしまうことは非常にリスクが高いと考えられます。
新型コロナウイルスが出現する前から医療機関では内視鏡の洗浄・消毒が徹底されており、内視鏡を介して感染症がうつるということはまずありません。洗浄や消毒は新型コロナウイルスにも効果がありますので、たとえ感染者が使用した内視鏡であっても感染するリスクはほぼないと考えてよいでしょう。
その上、医療機関ではこれまで以上に徹底した感染対策が行われています。このような対策を行っている医療機関であれば院内で新型コロナウイルスに感染するリスクは低いと言えます。
コロナ禍においても、がんの発見遅れを防ぐためには感染対策に尽力し、信頼できるクリニックで内視鏡検査を受けるようにしましょう。

おすすめ
クリニック
【内視鏡検査クリニックガイド】がおすすめする主要都市で安心して内視鏡検査が受けられるクリニックをご紹介いたします。それぞれおすすめポイントを掲載していますので、ぜひご参考ください。
東京エリア

えどがわ橋
内科・内視鏡クリニック
おすすめポイント
江戸川橋駅から徒歩3分の好立地なクリニックです。院長の上條信也医師は25年の臨床経験を持ち、日本消化器内視鏡学会専門医でもあります。
内視鏡検査経験数は8万件にものぼるとのことです。検査技術にも定評があり、食道がん、胃がん、大腸がんの早期発見に日々尽力しています。
また、周辺の医療機関との提携を結んでおり、緊急の治療が必要となってもバックアップ体制は整っているのも大きな特徴の一つです。
大阪エリア

大阪
内視鏡クリニック
おすすめポイント
早期発見・早期治療を重視しているクリニックです。通常30分程かかる大腸内視鏡検査ですが、こちらのクリニックでは5~10分で迅速に行われます。万が一検査中に見つかったポリープを切除した場合でも、かかる時間は30分ほど。検査時間が短いので、体の負担も少なく受診することができます。
名古屋エリア

名古屋内科、
内視鏡クリニック
おすすめポイント
検査や治療に伴う苦痛も最小限に抑える事をモットーにしているクリニックです。患者一人一人に合わせて最適な内視鏡を選択してくれる「オーダーメイド」の内視鏡検査が、このクリニック一番の強みと言えます。精密検査などに使われる医療器具は基本的に使い捨ての物を使用し、感染症のリスク軽減にも努めています。