更新日:2022/01/18 投稿日:2019/10/29
2種類ある胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)は「内視鏡」を用いて食道・胃・十二指腸の内部の状態を詳しく観察する検査です。
「内視鏡」とは、細いファイバースコープの先端にカメラが内蔵された医療機器のこと。カメラで捉えられた映像はリアルタイムにモニターで観察することが可能です。このため、一般的な健康診断で行うバリウム検査(胃透視検査)などと異なり、消化管内にできた小さな病変も発見することができるのです。
また、ファイバースコープの先端からは細い医療機器を挿入することができるため、検査や治療を同時に行うこともできます。具体的には、挿入した機器で病変の組織を採取し、顕微鏡で観察して病気を特定する病理検査を行うことができ、小さなポリープやがんであれば内視鏡を用いて挿入した機器で病変を切除することも可能です。さらに、胃潰瘍などからの出血を止める治療も行えます。
このように、胃カメラは病気を発見するのみならず、検査中に病気が見つかった際にも更なる精密検査や治療を同時に行うことができる優れた検査です。現在、広く使用されている胃カメラには「経口内視鏡」と「経鼻内視鏡」の2種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。2つの特徴を詳しく見てみましょう。
目次
経口内視鏡のメリットとデメリット
口からファイバースコープを挿入し、のどを通って食道・胃・十二指腸に挿入するタイプの内視鏡です。
ファイバースコープは太く固めであるため、のどを通るときにのどの壁を刺激すると嘔吐感が生じやすいとされています。また、検査中にのどの違和感や痛みが生じやすいのも欠点の一つです。
しかし、ファイバースコープが太いためカメラの解像度は高く、より鮮明な画像を映し出すことができます。また、ファイバースコープに強度があるため十二指腸の「ファーター乳頭」と呼ばれる穴を通して胆道へ医療機器を挿入することができ、胆石の治療などを行うことも可能です。
経鼻内視鏡のメリットとデメリット
鼻からファイバースコープを挿入し、のどを通って食道・胃・十二指腸に挿入するタイプの内視鏡です。狭い鼻から挿入するため、ファイバースコープは細く柔らかいのが特徴で、のどを通るときに嘔吐感や痛みが出にくいのが大きなメリットと言えます。
また、現在の経鼻内視鏡は以前に比べて内蔵されているカメラの解像度も高く、一般的な検査や簡便な治療を行うには十分な性能となっています。
デメリットとしては、挿入時に鼻に痛みが生じたり、鼻血が出やすいことが挙げられます。また、鼻が狭い人はファイバースコープを挿入できないケースも少なくありません。
とはいえ、経鼻内視鏡は一般的に経口内視鏡よりも体への負担や不快感が少ないため、人間ドックなどでは経鼻内視鏡を優先的に用いる医療機関も増えています。
このような症状があればまずは受けよう!胃カメラ検査
胃カメラ検査は、食道・胃・十二指腸の内部の状態をリアルタイムかつ詳細に観察することができる検査です。特に早期の胃がんなどを発見することができるため、現在ではがん検診や人間ドックなどでも広く取り入れられています。
基本的には症状がなくても一年に一度程度は定期的な検査をおススメしますが、次のような症状がある場合はできるだけ早めに病院を受診して検査を受けるようにしましょう。
上腹部痛が続く
胃の粘膜から飲食物の消化に必要な酵素を含む「胃酸」という液体が分泌されています。胃酸はその名の通り、酸性度が高いためデリケートな消化管の粘膜にダメージを与えることがあります。通常、胃の粘膜は胃酸からのダメージを受けない仕組みになっていますが、胃酸が過剰分泌したりすると粘膜が荒れて胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを引き起こすことも…。そのほかにも、胃がんや胃ポリープなど胃の粘膜に異常を来す病気では、胃酸が刺激となって痛みを引き起こすことも少なくありません。
特に空腹時に強くなる上腹部痛があるときはできるだけ早く検査を受けて、適切な治療を行うことが大切です。
黒っぽい便が出る、貧血症状がある
胃や十二指腸の粘膜は非常にデリケートです。潰瘍ががんなどの病気があると粘膜からじわじわとした出血が生じることも少なくありません。その結果、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れなどの貧血症状が現れることがあります。
また、食道・胃・十二指腸で生じた出血は血液中の鉄分が胃酸で酸化されて黒くなるため、黒っぽく粘り気のある便が出るようになります。
黒っぽい便や貧血症状は胃や十二指腸にがんや潰瘍ができているサインかもしれません。気づいたらすぐに病院へ行くようにしましょう。
食後や夜間の胸やけが続く
食後や夜間の胸やけが続く
食道と胃の境目は筋肉で固く閉じられています。このため、胃の中に入り込んだ飲食物や胃酸などの消化液は食道に逆流しないようになっているのです。しかし、加齢によって筋力が弱まったり、肥満や暴飲暴食によって胃が圧迫されると胃の中のものが食道に逆流してしまうことがあります。
このような病気を逆流性食道炎と言い、非常に発生頻度が高い病気です。症状としては、食後や夜間の胸やけ、呑さん(胃酸がのどまで上がってきて口の中が酸っぱくなる)などの症状が見られます。放っておくと食事に関係なく胸やけや痛みが生じることがありますので早めに検査を受けるようにしましょう。
のどのつかえ感
飲食物がのどにつかえるような感覚があるときは、食道に何らかの病気を発症している可能性があります。中には食道がんなどの重篤な病気がある場合もありますので、このような症状が見られるときは痛みなどを伴わない場合でも検査を受けるようにしましょう。
特に、喫煙している人は食道がんの発症リスクが高くなりますので要注意です。